Ian Knotは、とても速く、左右対称に結べる優れた靴ひもの結び方です。
一方で、実際に人へ教えようとすると、「どの指でひもを持つのか」「左右の手をどちらから動かすのか」「輪をどの指で取るのか」といった細かな部分は、見ただけでは伝わりにくいことがあります。

そこで私は、Ian Knotを初めて覚える人、とくに子どもたちが、毎回同じ手順で練習できるように、動作を一つの「学習用の標準形」にまとめることにしました。

その過程で生まれたのが、親指と人差し指を「カニさんのハサミ」に見立て、

右を上にして、ひとむすび
3本の指でひもを持つ
左右からハサミですくう
「いち・に」の形を目印にする

という覚え方です。

さらに、説明を読んで覚えるだけでなく、子どもが声に出し、手を動かしながら自然に順番を覚えられるように、手順そのものを歌にしました。

歌では、できるだけ

一つのフレーズに、一つの動作

を対応させています。

「次に何をするのか」を歌詞で先に伝え、そのあとに使う指や動かす方向を思い出せるようにすることで、見本を何度も見返さなくても、自分で手順を再現できることを目指しています。

Ian Knotを日常的に使っていた私は、さらに、Ian Knotの早さや連続した動きをできるだけ残したまま、解けにくい蝶結びに発展させる方法を考え、Ian Knotに追加手順を加えて生まれたのが、**Ian Knot Plus(Naoki Knot)**です。

Ian Knot Plusも、まったく別の結び方として覚え直すのではありません。Ian Knotで輪を取り出したところから、

右中指をひと結びの上に通す
左側のひもを中指の上に折り重ねる
右親指で持ちながら、中央へもう一度通す

と、ひと手間追加するだけで完成します。

そのため、まずIan Knotを覚え、慣れてからIan Knot Plusへ進む、という段階的な学び方ができます。

この教材で動作を細かく決めているのは、「この指使いだけが正しい」と考えているからではありません。

最初に学ぶときには、先生、保護者、子どもが同じ言葉で同じ動作を共有できたほうが、迷いが少なく、何度でも再現しやすいからです。

一度自然に結べるようになれば、それぞれの手の大きさや使いやすさに合わせて、指の持ち方や動かし方を変えてかまいません。

最初は、誰でも再現しやすい一つの形から。
覚えたあとは、自分に合った結び方へ。

これが、この教材の基本的な考え方です。

そして、この取り組みの出発点にあるのは、Ian Knotを考案し、長年にわたってその方法を公開してきたIan Fieggen氏への敬意です。

子どもたちが「カニさんのハサミ」をイメージしながら歌をきっかけに靴ひもを結べるようになり、その先で「これはIan Knotという結び方なんだ」と本来の名前や考案者について知ることができます。

そしてIan KnotからIan Knot Plusへと、結び方の選択肢を自由に広げていけること。

それが、この教材を作った理由です。

なぜ、このウェブサイトでは動作を統一して教えているのですか?

このサイトで紹介しているIan Knot(イアンノット)の基本原理は、Ian Fieggen氏が考案し、公式サイト Ian’s Shoelace Site で公開しているIan Knotと同じものです。

ただし、子どもが歌や動画を見ながら繰り返し練習できるように、いくつかの指の使い方や左右の動きを、学習用の「標準動作」として統一しています。

Ian氏自身も、公式チュートリアルで示した指の動きを一字一句そのまま守る必要はなく、Ian Knotの核心となる仕組みを保っていれば、自分にとって使いやすい指の動きを使ってよいと説明しています。

ここで紹介している方法も、Ian Knotを別の結び方に置き換えるものではありません。初めて学ぶ人が同じ説明から同じ動作を再現しやすくするために、教え方を一つの形にそろえたものです。

1. 最初は「右を上」に統一しています

Ian Fieggen氏の公式チュートリアルでは、最初のStarting Knotを Left-over-Right(左のひもを右のひもの上) から始める手順が掲載されています。

このサイトの学習用手順では、反対に、

「みぎをうえに ひとむすび」

と覚え、右のひもを上にして始める方法に統一しています。

これは、どちら向きでもよいからその場で選ぶ、という教え方を避けるためです。

靴ひもの蝶結びは、最初のひと結びと、その後に作る結びの向きの組み合わせが重要です。最初だけ左右を反対にして、その後を同じ動作で続けると、蝶が縦向きになりやすく、ほどけやすい縦結び(Granny Knot)になることがあります。

そのため、この歌では最初の交差だけでなく、その後の左右の手の動きまでを一つの組み合わせとして決めています。

子どもが、

「今日は右だったかな? 左だったかな?」

と迷わず、毎回同じところから始められることを優先しました。

また、歌として「右を上」と固定することで、先生や保護者が複数の子どもに教える場合にも、説明を統一しやすくなります。

2. 親指と人差し指を「カニさんのハサミ」にしています

Ian氏の公式詳細手順では、左右でまったく同じ指を使うわけではありません。

途中の工程では、左手は親指と人差し指、右手は親指と中指を使って、反対側のひもをつかむ方法が説明されています。

このサイトでは、子どもが左右の動きを覚えやすいように、

親指+人差し指 = カニさんのハサミ

という一つの形に統一しました。

左右とも最初に同じ「ハサミ」を作り、

左は手前から、右は向こうから

それぞれひもの下をすくいます。

そのあと左手だけをひねると、左側の指が漢数字の「一」、右側の指が「二」のように見えます。

そこで、

「いち・にでハサミをあわせたら」

と覚えます。

最後に反対側の輪を引っかけて取り出すときも、

左は親指、右は人差し指

と使う指を決めています。

Ian Knotに慣れてしまえば、必ずこの指使いを続ける必要はありません。これはあくまで、最初に動作を覚えるための基準となる手順です。

3. ひもの端は「3本の指」で持ちます

多くの場合は小指でひもの端を持つと解説されていますが、このサイトでは、左右それぞれのひもの端を、

中指・薬指・小指の3本

で持つことを基本にしています。

こうすると、親指と人差し指を自由にして「カニさんのハサミ」を作りながら、残りの指でひもを安定して保持できます。

小指だけでひもを押さえる方法などでもIan Knotを結ぶことはできます。しかし、初めて習う子どもにとっては、

「どの指で持っておけばいいの?」

という小さな違いも混乱の原因になります。使わない指がひもを操る動作を邪魔することもなく、使わない指を折りたたんでおくことで、視覚的な混乱も避けられます。

そこで、

親指と人差し指はハサミ。残りの3本はひもを持つ。

という役割分担にしました。

5本の指の役割がはっきりするため、歌や動画を見ながら同じ形を再現しやすくなります。

また、この持ち方からIan Plusへ進む場合も、輪を指先に引っ掛けながらしっかり保持したあとに中指を次の操作へ移す、という流れを教えやすくなります。

覚えたあとは、自分の結び方にしてかまいません

この「標準動作」は、唯一の正しい指使いを決めるためのものではありません。

自転車の乗り方や鉛筆の持ち方と同じように、最初は一つの形から覚えたほうが、教える側も習う側も迷いにくくなります。

Ian Knotを自然に結べるようになったら、指の持ち方や動かし方は、それぞれの手の大きさや癖に合わせて変えてかまいません。

大切なのは、

最初は、みんなが再現できる一つの形から。
覚えたあとは、自分に合った結び方へ。

という考え方です。

このサイトでは、Ian Fieggen氏が生み出したIan Knotへの敬意を大切にしながら、その優れた仕組みを、子どもにも覚えやすく、教えやすい形で伝えることを目指しています。